
- 装着時間が結果を左右します。1日20時間以上の装着が前提で、外している間は歯が動きません。
- 対応できる症例に範囲があり、大きく動かす場合や抜歯を伴う場合は別の方法が検討されます。
- 紛失・破損・アタッチメントの脱落で治療が止まることがあります。
- 自己管理の比重が大きいため、生活のリズムに合うかどうかも判断の材料になります。
1. 「取り外せる」ことは、利点でも弱点でもある
マウスピース矯正の説明でよく挙がるのが、目立ちにくい・取り外せる・歯みがきがしやすいという点です。これらは事実ですが、同じ性質が弱点にもなります。外せるということは、外している間は歯が動かないということでもあります。
ここでは利点の裏側にある条件を整理します。デメリットを知ったうえで選べば、始めてから「思っていたのと違う」となる場面を減らせます。
2. 装着時間が守れないと、計画どおりに進まない
アライナーは1日20時間以上の装着を前提に設計されています。食事と歯みがきの時間を差し引くと、外していられるのは1日4時間程度という計算になります。
装着時間が足りないと、1枚ごとの動きが計画に届かず、次の枚数が合わなくなります。結果として期間が延び、場合によっては前の枚数に戻すこともあります。装置の性能ではなく運用で結果が変わるというのが、この方法のいちばん大きな特徴です。
期間の考え方はマウスピース矯正の期間はどれくらい?に整理しています。
3. 対応できる症例に範囲がある
マウスピース矯正の適応は広がってきていますが、すべてのケースに使えるわけではありません。一般に、次のような条件では別の方法や併用が検討されます。
- 歯を大きく動かす必要がある場合——移動量が大きいほど枚数が増え、コントロールが難しくなります
- 抜歯を伴う計画になる場合——抜いたすき間を閉じる動きは難度が上がります
- 歯の根を大きく動かす・回転させる必要がある場合
- 骨格的な要素が大きい場合——あごの位置関係が原因のときは、外科的な処置が選択肢になることがあります
適応かどうかは検査のうえでの判断になります。装置ありきで進めるのではなく、診断のあとに方法を選ぶという順番が基本です。
4. 紛失・破損で治療が止まる
取り外し式であるがゆえに、紛失や破損が起こります。外食のときにティッシュに包んで置き、そのまま捨ててしまうというのは実際に起こりやすい場面です。
再作製の間、治療は止まります。医院によっては1つ前の枚数を保管しておくことでつなぎにできる場合があるため、外したアライナーの扱いを最初に確認しておくとよいでしょう。再作製の費用が総額に含まれるかどうかも、確認しておきたい項目です。
5. アタッチメントとIPR——「何も付けない」わけではない
マウスピース矯正では、歯の表面にアタッチメントと呼ばれる小さな突起を付けることが多くあります。アライナーが歯をつかむ足がかりになるもので、これがあることで動かせる方向が増えます。
また、歯を並べるすき間をつくるためにIPR(歯と歯の間をわずかに削る処置)が行われることがあります。いずれも「まったく歯に触れない方法」ではないという点は、始める前に理解しておきたいところです。
6. 通院が減るとは限らない
通院回数が少ないという説明を見かけることがありますが、実際の間隔は医院の方針と治療の進み方によります。目安は月1回〜3か月に1回で、ワイヤー矯正と大きく変わらない設定になることもあります。
通院が空くと、計画とのずれの発見が遅れます。「通わなくてよい」ではなく「確認の機会」と捉えるほうが実際に近いです。
7. 費用は装置の種類だけでは決まらない
全体のマウスピース矯正では約60万〜120万円程度が目安として示されることが多く、表側のワイヤー矯正の約60万〜130万円程度と比べて特別に安いわけではありません。追加アライナーや保定の扱いによって総額は変わります。
費用の内訳は歯列矯正の費用相場と内訳、インビザラインの場合はインビザラインの費用はいくら?で扱っています。
8. それでも向いている場合
ここまで弱点を並べましたが、条件が合えば取り回しのよい方法です。装着時間を守れる生活リズムがあり、適応の範囲に収まる症例であれば、目立ちにくさと歯みがきのしやすさは日常の負担を減らします。
大切なのは、利点と弱点を並べたうえで自分の条件に照らして選ぶことです。始めたあとの対処はマウスピース矯正で後悔しないために、医院選びは大阪でマウスピース矯正を探すときに整理しています。