小児矯正は医療費控除の対象になる?
——対象の考え方と申告の進め方

矯正治療の費用・治療計画について説明するカウンセリングの様子
写真提供:トモコ歯科医院
この記事の要点
  • こどもの不正咬合に対する歯列矯正は、発育段階の成長を妨げないために行うものとして、原則的に医療費控除の対象になると国税庁が示しています。
  • 控除されるのは「支払った額」ではなく「所得から差し引ける額」です。目安は年間の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の方はその5%)を超えた部分で、上限は200万円です。
  • 戻ってくる金額は控除額×所得税率です。装置代だけでなく検査・診断料、調整料、公共交通機関での通院交通費も対象になり得ます。

こどもの矯正の相談で、費用の話と並んでよく出るのが「医療費控除は使えますか」という質問です。矯正治療は原則として自由診療のため、公的医療保険は使えないことがほとんどです。その一方で、確定申告の医療費控除は、こどもの矯正では使える場面が多い制度です。ここでは対象の考え方と、実際にいくら戻るのかの見方を順に整理します。

1. こどもの矯正が対象になりやすい理由

国税庁は、歯列矯正について「発育段階にある子どもの成長を阻害しないために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります」という考え方を示しています。逆に、容ぼうを美化するための費用は対象になりません

つまり判断の軸は年齢そのものではなく「目的が機能の改善かどうか」です。こどもの場合は噛み合わせや発育に関わる治療として行われることが多いため、結果的に対象になりやすい、という関係になります。大人の矯正でも、噛み合わせの機能改善が目的であれば対象になり得ます。

出典:国税庁 タックスアンサー No.1122 医療費控除の対象となる医療費No.1120 医療費を支払ったとき(2026年9月時点)

2. 「控除」は返金ではない——計算の順番

ここを取り違えると期待とずれます。医療費控除は支払った額が戻る制度ではなく、所得から差し引く制度です。順番は次のようになります。

例として、1期治療で40万円を支払い、他に医療費がなく、所得税率が10%の世帯を考えます。控除額は40万円−10万円=30万円、所得税の還付は約3万円、住民税の軽減が約3万円で、合計およそ6万円分の負担軽減という見方になります。金額はあくまで計算例で、実際の税率・世帯状況によって変わります。

3. 対象に含められる費用・含められない費用

矯正治療で支払う費用は、装置代だけではありません。次のように整理できます。

費用の内訳そのものはこどもの矯正費用で扱っています。当エリアの費用の目安としては、精密検査・診断が約10,000〜65,000円、1期治療の目安は約10万〜60万円、通院ごとの調整料が約3,000〜10,000円です。金額は検査・診断に基づき医院ごとに異なります。

4. 支払い方法で変わる「いつの年の医療費か」

医療費控除はその年に支払った分が対象です。矯正のように治療が年をまたぐ場合、支払い方によって申告する年が変わります。

5. 申告の手順

世帯で最も所得税率の高い方がまとめて申告すると、還付額が大きくなる傾向があります。生計を一にしていれば、家族分をまとめて計上できます。

6. 相談の段階で聞いておくとよいこと

相談で確認したい項目の全体像は矯正相談で聞くべき10の質問に、保険が使える例外的なケースは歯列矯正に保険は使える?にまとめています。エリア内の医院の探し方は谷町四丁目のこども矯正ガイドをご覧ください。

よくある質問

Q. 診断書は必要ですか。

A. 医療費控除の申告に診断書の添付は求められていません。ただし、税務署から治療の目的について確認を受けた場合に説明できるよう、治療内容がわかる資料を残しておくと安心です。診断書の作成料自体は原則として控除の対象外です。

Q. 大人の矯正でも対象になりますか。

A. 目的によります。噛み合わせなど機能の改善を目的とする場合は対象になり得ますが、容ぼうを美化することが目的の場合は対象になりません。判断に迷う場合は所轄の税務署にご確認ください。

Q. 医療費が10万円を超えていないと使えませんか。

A. 総所得金額等が200万円未満の方は、10万円ではなくその5%が基準になります。また、家族分を合算できるため、世帯単位で見ると超えている場合があります。

Q. セルフメディケーション税制と両方使えますか。

A. どちらか一方の選択制です。両方を同時に適用することはできません。

税制の取扱いは個別の事情によって判断が異なります。最終的な適用可否は所轄の税務署または税理士にご確認ください。本記事は2026年9月時点の公表内容に基づく一般的な情報です。

参考情報

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。治療の適応・費用は検査・診断に基づき医院ごとに異なります。受診の際は必ず各医院に直接ご確認ください。

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