谷四(谷町四丁目・谷町4丁目)の矯正歯科で相談や検査を受けると、多くの方が最初に向き合うのが「歯を抜いて並べるか、抜かずに並べるか」という分かれ道です。ある医院では「小臼歯を抜いたほうがよい」と言われ、別の医院では「抜かずにできる」と言われて、どちらを信じればよいか分からなくなった——という相談は珍しくありません。この記事では、抜歯・非抜歯が何を材料に判断されているのか、そして「抜くと横顔がへこむ」「あごの関節を痛める」といった心配について論文でどこまで分かっているのかを整理します。検査で使うセファロやCTの中身は 谷町四丁目・谷四で矯正相談を受ける前に で解説しているので、本記事はその続き——検査結果をもとにした方針の説明を理解するための下準備——にあたります。
この記事の要点
- 抜歯・非抜歯は「医院の流儀」だけで決まるものではなく、歯のがたつきの量、口元(唇)の出方、前歯の出っ張り、かみ合わせの型といった診断上の材料で判断されている[2][3]。
- 大学病院の記録では、抜歯の割合は時代によって大きく変わってきた。現在は「適切な方法を使えば、多くのがたつきは抜歯でも非抜歯でも治療できる」という考え方が共有されている[1]。
- 抜歯は唇を後ろに下げる方向に働き、口元の出ている人ほど横顔の改善として受け止められやすい[4][5]。非抜歯も適応を選べば有効な選択肢とされる[6]。
- 「抜歯で顔がへこむ」「抜歯であごの関節を痛める」という心配は、長期追跡研究やメタアナリシスでは支持されていない[7][8]。

そもそも、なぜ歯を抜く選択肢があるのか——歯の大きさとあごのスペース
歯並びのがたつき(叢生)は、歯の幅の合計に対して、歯が並ぶあごの弓(歯列弓)の長さが足りないときに起こります。足りない分のスペースをどこから作るかが、抜歯・非抜歯の分かれ目です。抜歯する場合は、前から4番目または5番目の小臼歯を上下左右で2本または4本抜くことが多く、できたすき間を使って前歯を並べ、出ている前歯を後ろに下げます。抜かない場合は、別の方法でスペースを作ります。
- 歯列の幅を広げる:成長期であれば床矯正や急速拡大装置、成人ではワイヤーやマウスピース型装置で歯列の幅をわずかに広げる
- 奥歯を後ろに動かす:歯科矯正用アンカースクリューなどを使い、奥歯を後方に移動して前歯のスペースを作る
- 歯と歯の間をわずかに削る:エナメル質の範囲で歯の幅を少し小さくする(IPR・ディスキング)
- 前歯を前に傾ける:スペースは得られるが、口元が前に出る方向に働くため、適応は限られる
どの方法にも作れるスペースの量に上限があり、がたつきや口元の出方が大きい場合ほど、抜歯のほうが無理なく計画を立てられることがあります。逆に、がたつきが軽く口元も出ていない場合は、抜歯をすると前歯を下げすぎてしまうこともあるため、非抜歯で計画するのが自然です。
論文で分かっていること①——抜歯の割合は時代とともに変わってきた
米国ノースカロライナ大学の矯正科で、5年ごとのカルテを40年分たどった研究があります。それによると、小臼歯4本を抜く治療の割合は1950年代から60年代にかけて大きく増え、全体の抜歯率は1968年に76%でピークに達したあと、1993年には28%まで下がりました[1]。増えた理由は治療後の安定性を求めたこと、減った理由は横顔への影響への関心、抜歯が安定性を約束するわけではないというデータ、あごの関節への懸念、装置や技術の変化などが挙げられています。そのうえで著者は、適切な治療の仕組みを使えば、がたつきの多くは抜歯でも非抜歯でも満足のいく治療ができるとまとめています。
同じ大学で2000〜2011年に治療を受けた2,184人を分析した研究では、全体の抜歯率は2000年の37.4%から、2006年以降は25%をわずかに下回る水準で推移し、小臼歯4本の抜歯は8.9〜16.5%でした[2]。つまり現在の矯正治療では、非抜歯で進む人のほうが多い一方で、一定の割合の人には抜歯が選ばれ続けている、というのが実情です。
論文で分かっていること②——判断を左右するのは「がたつき」「口元」「前歯の出っ張り」
では、何が抜歯の判断を分けているのでしょうか。前述の2,184人の分析では、がたつきが大きいほど、前歯の出っ張り(オーバージェット)が大きいほど、上下の前歯の重なり(オーバーバイト)が浅いほど、そして上の歯列が前に出ているタイプ(Ⅱ級)であるほど、抜歯が選ばれやすいことが示されました[2]。抜歯ががたつきだけでなく、出っ歯や開咬(前歯がかみ合わない状態)の治療にも同じくらい関わっている、という点も報告されています。
ギリシャの大学と5つの矯正歯科医院の記録542件(上下のあごの前後関係に大きなずれがないⅠ級の症例)を調べた研究では、小臼歯4本を抜いた治療は26.8%で、判断にもっとも影響していたのは下の歯のがたつき、Eライン(鼻先とあご先を結んだ線)に対する下唇の位置、上の歯のがたつき、前歯の出っ張りの4項目でした[3]。これらの数値を組み合わせると、実際の判断を83.9%の精度で分類できたとされています。
- がたつきの量:歯の幅の合計と歯列の長さの差。スペース不足が大きいほど抜歯が検討される
- 口元(唇)の出方:Eラインより唇が前に出ているかどうか。横顔のバランスに直結する
- 前歯の出っ張り・かぶさり:出っ歯の程度や、前歯の重なりの深さ
- あごの前後関係とかみ合わせの型:セファロ分析で、歯の傾きの問題か骨格の問題かを切り分ける
医院によって説明が違うときは、この4つのどれをどう評価しているかを聞き比べると、意見の違いがどこから来ているのかが見えてきます。境界的なケースでは、どちらを選んでも治療は可能で、何を優先するか(口元の変化、期間、歯を残すこと)で方針が分かれることもあります。
論文で分かっていること③——抜歯・非抜歯と横顔(口元)の変化
抜歯をするかどうかが横顔にどう影響するかは、多くの人が気にする点です。米国で120人の治療前後の横顔を、一般の人58人と歯科医師42人に評価してもらった研究では、抜歯をした人の横顔は治療後に平均1.8mm「平ら」になり、その変化は治療前に口元が出ていた人ほど改善として受け止められました[4]。唇がEラインから2〜3mm後ろの位置よりも前に出ている場合に、抜歯が横顔の改善につながり得ると評価されています。
この分野のシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、抜歯を伴う治療は非抜歯と比べて下唇を平均約2.0mm、上唇を約1.3mm後ろに下げ、鼻と上唇の角度(鼻唇角)を広げる方向に働くことが示されました[5]。変化の大きさは、年齢、抜歯の方法、前歯をどれだけ下げたかによって変わるとされています。一方、別のメタアナリシスは、適応を選べば非抜歯の治療も安全で有効な選択肢であり、一人ひとりに合わせた方針を立てるべきだと結論づけています[6]。
- 口元が前に出ていて「口が閉じにくい」「横顔の口元が気になる」場合は、抜歯による口元の後退が希望に沿うことがある
- 口元が出ていない、または唇が薄い場合は、抜歯で前歯を下げすぎない計画(非抜歯、または抜歯後のすき間の使い方の調整)が検討される
- 横顔の変化は数mm単位で、鼻やあごの形、年齢による変化とも重なる。どの程度の変化を見込んでいるかを数値で説明してもらうとよい
論文で分かっていること④——「抜くと顔がへこむ」「あごの関節を痛める」は本当か
抜歯に対してよく聞かれる心配が、「抜歯すると横顔がへこむ(皿のような顔になる)」「抜歯であごの関節に負担がかかる」というものです。出っ歯(Ⅱ級)で、明らかに抜歯が適した人と、明らかに非抜歯が適した人を約15年後まで追跡した研究では、治療後の期間に両グループが同じような横顔の変化をたどり、追跡時点であごの機能障害の症状・所見に差はありませんでした[7]。著者は「小臼歯の抜歯が横顔をへこませ、あごの関節の不調を招く」という通説は支持されない、とまとめています。
矯正治療と顎関節症の関係を調べた31本の研究をまとめたメタアナリシスでも、抜歯の有無や装置の種類を含め、一般的な矯正治療が顎関節症の有病率を高めることは示されなかったと報告されています[8]。もちろん、もともと関節に症状がある方は、治療前に申し出て検査や経過観察の方針を相談しておくことが大切です。
抜歯・非抜歯で変わる、治療の進め方と費用の目安
抜歯をするかどうかで、治療の流れや期間の感じ方も変わります。抜歯する場合は、矯正装置をつけたあと(またはつける前後)に小臼歯を抜き、そのすき間を閉じながら前歯を並べて下げていくため、すき間が閉じるまでの期間が加わります。非抜歯の場合は、拡大や奥歯の移動、歯と歯の間を削る処置などでスペースを作る工程が入ります。装置ごとの違いは ワイヤー矯正・裏側矯正・部分矯正の違い と マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い を参考にしてください。
- 初回相談料:無料〜5,000円程度。検査・診断料:10,000〜65,000円程度
- 装置料(全体矯正):表側ワイヤー 約60万〜130万円/裏側 約100万〜170万円/マウスピース型 約60万〜120万円
- 抜歯の費用:矯正の総額に含む医院と、別途かかる医院がある。抜歯を連携先の医療機関で行う場合もある
- 調整・観察料:約3,000〜10,000円/回。保定装置料:約10,000〜60,000円
総額の考え方と内訳は 歯列矯正の費用相場と内訳 に、治療後の後戻り対策は 保定期間とリテーナーの基礎知識 にまとめています。抜歯でも非抜歯でも、治療後の保定は欠かせません。
谷四・谷町四丁目の矯正歯科で方針の説明を受けるときの確認点
谷町四丁目駅(谷町線・中央線)の周辺で矯正に対応する医院は 谷町四丁目の矯正歯科ガイド に、歯列矯正の装置と費用の比較は 谷町四丁目・谷四の歯列矯正ガイド にまとめています。「谷四 矯正歯科」「谷町4丁目 矯正歯科」で探しても対象は同じエリアです。抜歯・非抜歯の説明を受けるときは、次の点を確認しておくと、別の医院の意見とも比べやすくなります。
- 抜歯(非抜歯)を選ぶ理由は、がたつき・口元・前歯の出っ張り・かみ合わせの型のどれによるものか
- もう一方の方針を選んだ場合、横顔・期間・仕上がりの何が変わるのか
- 非抜歯の場合、どの方法でスペースを作るのか(拡大・奥歯の移動・歯の間を削る処置)と、その限界
- 抜歯する場合、どの歯を何本抜くのか、抜歯はどこで行い、費用は総額に含まれるのか
- 口元(唇)の位置がどの程度変わる見込みか
意見が分かれたときは、検査資料を借りてセカンドオピニオンを受けるのも一つの方法です。女性歯科医師が診療し、平日19:30まで開いている医院の例として トモコ歯科医院の紹介ページ もあります。
費用・期間・リスクについて
矯正治療は原則として公的医療保険が適用されない自由診療です(顎変形症など一部の症例を除く)。治療中は痛みや違和感が出ることがあり、歯根吸収・歯肉退縮、装置周りのむし歯・歯周病などのリスクが知られています。抜歯を伴う場合は、抜歯後の腫れや痛み、抜歯したすき間が閉じるまでの期間があります。装置を外したあとも、後戻りを防ぐための保定期間が必要です。費用・期間は症例と医院により異なるため、検査・診断のうえで各医院から説明を受けてください。
参考文献
- Proffit WR. Forty-year review of extraction frequencies at a university orthodontic clinic. Angle Orthod. 1994. PMID: 7864461
- Jackson TH, et al. Extraction frequencies at a university orthodontic clinic in the 21st century: Demographic and diagnostic factors affecting the likelihood of extraction. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2017. PMID: 28257729
- Konstantonis D, et al. Extraction decision and identification of treatment predictors in Class I malocclusions. Prog Orthod. 2013. PMID: 24326213
- Bowman SJ, Johnston LE Jr. The esthetic impact of extraction and nonextraction treatments on Caucasian patients. Angle Orthod. 2000. PMID: 10730669
- Konstantonis D, et al. Soft tissue changes following extraction vs. nonextraction orthodontic fixed appliance treatment: a systematic review and meta-analysis. Eur J Oral Sci. 2018. PMID: 29480521
- Moon S, et al. Extraction vs. Nonextraction on Soft-Tissue Profile Change in Patients with Malocclusion: A Systematic Review and Meta-Analysis. Biomed Res Int. 2021. PMID: 34589550
- Luppanapornlarp S, Johnston LE Jr. The effects of premolar-extraction: a long-term comparison of outcomes in "clear-cut" extraction and nonextraction Class II patients. Angle Orthod. 1993. PMID: 8297050
- Kim MR, et al. Orthodontics and temporomandibular disorder: a meta-analysis. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2002. PMID: 12045761
本記事は査読付き学術論文と各医院の公式サイト等の公開情報に基づいて編集部が作成したもので、特定の医院の優劣を示すものではありません。引用した研究は対象・方法が限られており、個々の患者さんの結果を約束するものではありません。掲載の費用・期間は2026年10月時点の一般的な目安です。診療内容・費用は必ず各医院に直接ご確認ください。
よくあるご質問
抜歯をしないで矯正できる医院を選んだほうがよいですか
「抜かないこと」自体を目的にするより、抜歯・非抜歯のどちらがご自身のがたつきや口元の出方に合っているかで考えるのがおすすめです。研究では、適応を選べば非抜歯も有効な選択肢とされる一方、口元が出ている人では抜歯による口元の後退が横顔の改善として受け止められやすいことも報告されています。
医院によって抜歯・非抜歯の意見が違うのはなぜですか
がたつきの量、唇の位置、前歯の出っ張り、かみ合わせの型をどう評価するか、口元の変化と期間のどちらを優先するかによって、境界的なケースでは方針が分かれることがあります。どの項目をどう評価したのかを聞き比べると、違いの理由が分かりやすくなります。
抜歯すると横顔がへこんでしまいませんか
出っ歯の人を約15年追跡した研究では、抜歯をした人と抜歯をしなかった人で治療後の横顔の変化のたどり方は同じようなもので、「抜歯で横顔がへこむ」という通説は支持されませんでした。ただし変化の大きさは前歯をどれだけ下げるかによるため、見込みを数値で説明してもらうと安心です。
抜歯をするとあごの関節に悪い影響はありますか
31本の研究をまとめたメタアナリシスでは、抜歯の有無を含め、一般的な矯正治療が顎関節症を増やすことは示されませんでした。もともと関節に痛みや音などの症状がある場合は、治療前に伝えて検査や経過観察について相談してください。
谷四と谷町四丁目、谷町4丁目は同じ場所ですか
同じです。「谷四(たによん)」は谷町四丁目の地元での略称で、「谷町4丁目」は数字表記です。どの表記で探しても、谷町四丁目駅周辺の矯正歯科が対象になります。