「プレオルソ」「マイオブレース」という名前を、学校の歯科健診のあとや、谷町四丁目(谷四・谷町4丁目)のこども矯正の相談で初めて聞いたご家庭は多いと思います。どちらも柔らかい既製のマウスピース型装置で、歯を直接動かすのではなく、口呼吸や舌の位置といった口の使い方に働きかけることを目的にしています。この記事では、装置の説明そのものよりも、「効くのか」という問いに論文がどこまで答えているかを整理し、あわせて費用・期間と、谷町四丁目エリアで相談するときの確認点をまとめます。装置どうしの違いは マイオブレースとプレオルソの違い で解説済みなので、そちらもあわせてご覧ください。
この記事の要点
- プレオルソ・マイオブレースは機能的マウスピース装置(トレーナー型装置)に分類され、主に6〜10歳ごろの成長期に使われる。
- 同じ系統の既製装置を調べた論文では、出っ歯(上顎前突)の子どもで前歯の出っ張りが減ること、混合歯列期の早い時期に使うと前歯の重なりやかぶさりが改善することが報告されている[1][3][4]。
- 一方、個別に製作する機能的装置(ツインブロック)との比較では既製装置が劣るとの評価があり[5]、早期治療全体を見たコクラン・レビューは「最終結果に大きな差はない」と結論づけている[7]。
- 費用の目安は1期治療として約10万〜60万円(自由診療)。装着時間を家庭で守れるかが結果を左右する。

プレオルソ・マイオブレースとは——歯ではなく「口の使い方」に働きかける装置
歯並びが乱れる背景には、あごの大きさと歯の大きさのバランスだけでなく、口呼吸・低い舌の位置・飲み込むときに舌を前に突き出す癖・指しゃぶりといった習慣が関わることがあります。プレオルソ(日本で考案された装置)とマイオブレース(オーストラリア発のプログラム)は、こうした習慣に働きかけるために設計された既製の柔らかいマウスピースで、日中1〜2時間程度と就寝中に装着し、呼吸や舌のトレーニングを並行して行うのが一般的な使い方です。
- 分類:機能的マウスピース装置。歯型を取って個別に作る機能的装置(ツインブロック、アクチバトールなど)と目的は近いが、既製品である点が異なる
- 対象:乳歯と永久歯が混在する混合歯列期(おおむね6〜10歳)が中心
- 目指すもの:前歯の出っ張り・かぶさりの軽減、口呼吸や舌の癖の改善、永久歯が並ぶ環境づくり
- 目指さないもの:1本ずつの歯の位置を細かく整えること(必要なら2期治療でワイヤーやマウスピース型装置を使う)
なお、プレオルソそのものを対象にした英文の臨床研究は限られています。以下で紹介するのは、プレオルソ・マイオブレースと同じ系統の既製トレーナー型装置(プレオーソドンティック・トレーナー、萌出誘導装置など)を調べた研究で、装置の仕組みが共通しているため参考になる範囲、という前提で読んでください。
論文で分かっていること①——出っ歯の子どもで「前歯の出っ張り」が減る
もっとも研究が多いのは、上の前歯が前に出ている上顎前突(Ⅱ級1類)の子どもへの効果です。既製トレーナー型装置を使った群と、治療をしなかった対照群を比べた2004年の研究では、装置を使った群で前歯の出っ張り(オーバージェット)が減り、下の前歯の傾きや口元の変化が確認されています[1]。2010年の研究でも、同じ装置で上下の前歯の位置関係が改善したと報告されています[2]。
- 変化の中心は歯と歯槽部(歯を支える部分)で、あごの骨そのものを大きく変える効果は限定的と考えられている
- 装置の効果は装着時間に依存する。装着が不十分な例では結果が出にくい
- 対象年齢は研究によって異なるが、おおむね永久歯の前歯が生えそろう前後が中心
論文で分かっていること②——混合歯列期の早い時期に使うと「並び」が改善する
乳歯から永久歯への生え変わりが始まったばかりの時期(混合歯列期の初期)に、既製の萌出誘導装置を使った前向き対照研究では、使わなかった群に比べて前歯の出っ張り・かぶさり・重なりが少なくなったと報告されています[3]。7〜8歳の子どもを対象にしたランダム化比較試験でも、1年間の使用で前歯の出っ張りとかぶさりの改善が確認されました[4]。
これらは「早い時期に口の環境を整えると、永久歯が並ぶ条件がよくなる」という、機能的装置の考え方を支持する結果です。ただし、研究の多くは1〜2年の短期的な変化を見たもので、永久歯がすべて生えそろったあとの状態まで追った研究は多くありません。
論文で分かっていること③——限界:個別製作の装置との比較と、早期治療のレビュー
肯定的な報告がある一方で、限界を示す研究も押さえておく必要があります。既製トレーナー型装置と、歯型から個別に作る機能的装置(ツインブロック)を比べた臨床試験の評価では、9か月時点でツインブロックのほうが良好な結果だったとまとめられています[5]。マイオブレースとツインブロックを比較したシステマティックレビューも2024年に公表されていますが、対象となった研究の数は少なく、結論を一般化するにはさらなる研究が必要とされています[6]。
さらに、成長期の出っ歯に対する早期治療(2段階治療)と、思春期以降にまとめて行う治療を比べたコクラン・レビューは、最終的な歯並び・かみ合わせの結果に大きな差はなく、早期治療の明確な利点は前歯をぶつけてけがをするリスクを減らすことに限られる、と結論づけています[7]。
- 既製装置は「手軽に始められる」が、「個別製作の装置より効く」わけではない
- 早く始めること自体が結果を良くするとは限らない。前歯が大きく出ていてけがの心配がある場合は、早期治療の根拠になる
- だからこそ、装置名ではなく「この子に今、何を目指して使うのか」を診断で確認してから始める
床矯正・ワイヤー矯正との役割の違い
谷町四丁目エリアの小児矯正では、プレオルソ・マイオブレースのほかに、あごの幅を広げる床矯正(拡大床)や、永久歯がそろってからのワイヤー矯正・マウスピース型矯正が選択肢になります。役割が違うので、「どれが良いか」ではなく「何を目指すか」で考えます。
- 機能的マウスピース装置(プレオルソ・マイオブレース):口の使い方の癖に働きかけ、前歯の出っ張り・かぶさりを軽くする
- 床矯正(拡大床):歯が並ぶスペースをつくる(谷町四丁目・谷四で床矯正を相談するとき)
- ワイヤー・マウスピース型(2期治療):永久歯が生えそろったあと、1本ずつの位置を整える
装置全体の分類は 小児矯正の装置の種類 に、開始時期の考え方は 成長期の矯正治療はいつから? にまとめています。
費用と期間の目安(自由診療)
- 1期治療(機能的装置・床矯正など):約10万〜60万円。使用期間は1〜2年程度が一般的
- 検査・診断料:10,000〜65,000円程度(初回相談料は無料〜5,000円程度の医院が多い)
- 通院ごとの観察・調整料:約3,000〜10,000円(総額に含む料金体系の医院もある)
- 2期治療が必要になった場合:別途、全体矯正の費用(ワイヤー 約60万〜130万円、マウスピース型 約60万〜120万円が目安)。1期の費用を差し引く医院もある
- 保定装置料:約10,000〜60,000円
機能的装置は装置自体の価格が比較的抑えられている一方、トレーニングの指導や経過観察の回数が多くなるため、通院ごとの費用を含めた総額で確認してください。小児矯正の総額の考え方は 小児矯正の費用はいくら? も参考になります。
谷町四丁目・谷四で相談するときの確認点
谷町四丁目駅(谷町線・中央線)の周辺で小児矯正に対応する医院は 谷町四丁目の小児矯正・こども矯正ガイド に一覧があります。「谷四 こども矯正」「谷町4丁目 小児矯正」で探しても対象は同じエリアです。相談の場では、論文の内容を踏まえて次の点を聞いておくと、始めるかどうかの判断がしやすくなります。
- この子の歯並びの原因は何か(癖なのか、あごの幅なのか、骨格なのか)。機能的装置が向く理由
- 何を目指して、どのくらいの期間使うのか。改善が見られない場合の次の選択肢
- 1日の装着時間とトレーニングの内容、家庭で誰がどう支えるか
- 2期治療が必要になる見込みと、その場合の費用の扱い
- 学校や習い事のあとに通える診療時間があるか
マイオブレースによる小児矯正に対応する医院の例として トモコ歯科医院の紹介ページ があります(平日19:30まで診療)。
費用・期間・リスクについて
矯正治療は原則として公的医療保険が適用されない自由診療です(顎変形症など一部の症例を除く)。治療中は痛みや違和感が出ることがあり、歯根吸収・歯肉退縮、装置周りのむし歯・歯周病などのリスクが知られています。装置を外したあとも、後戻りを防ぐための保定期間が必要です。費用・期間は症例と医院により異なるため、検査・診断のうえで各医院から説明を受けてください。
参考文献
- Usumez S, et al. The effects of early preorthodontic trainer treatment on Class II, division 1 patients. Angle Orthod. 2004. PMID: 15529493
- Das UM, et al. Treatment effects produced by preorthodontic trainer appliance in patients with class II division I malocclusion. J Indian Soc Pedod Prev Dent. 2010. PMID: 20215669
- Keski-Nisula K, et al. Orthodontic intervention in the early mixed dentition: a prospective, controlled study on the effects of the eruption guidance appliance. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2008. PMID: 18249292
- Myrlund R, et al. One year treatment effects of the eruption guidance appliance in 7- to 8-year-old children: a randomized clinical trial. Eur J Orthod. 2015. PMID: 25005108
- Brignardello-Petersen R. Twin block appliance seems to have better outcomes than preorthodontic trainer after 9 months. J Am Dent Assoc. 2020. PMID: 32859353
- Rusli RO, et al. Myobrace versus twin block in the treatment of class II malocclusion in Children: A systematic review. Saudi Dent J. 2024. PMID: 38766291
- Batista KB, et al. Orthodontic treatment for prominent upper front teeth (Class II malocclusion) in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2018. PMID: 29534303
本記事は査読付き学術論文・学会の公開指針と各医院の公式サイト等の公開情報に基づいて編集部が作成したもので、特定の医院の優劣を示すものではありません。引用した研究は対象・方法が限られており、個々の患者さんの結果を約束するものではありません。掲載の費用・期間は2026年10月時点の一般的な目安です。診療内容・費用は必ず各医院に直接ご確認ください。
よくあるご質問
プレオルソとマイオブレース、論文上はどちらが効きますか
2つを直接比べた質の高い研究は見当たりません。どちらも「既製の機能的マウスピース装置」として同じ系統の研究が参考になりますが、装置の差より、お子さんの歯並びの原因に合っているか、装着時間を守れるかのほうが結果に関わります。
何歳から始めるのがよいですか
研究の多くは混合歯列期(おおむね6〜10歳)を対象にしています。ただし早く始めること自体が最終結果を良くするとは限らないため、前歯の出っ張りが大きくけがの心配がある、口呼吸が目立つなど、今使う理由があるかを診断で確認してください。
プレオルソ・マイオブレースだけで歯並びは完成しますか
完成するとは限りません。機能的装置は前歯の出っ張りや口の癖を軽くする装置で、永久歯がそろったあとにワイヤーやマウスピース型による2期治療が必要になることがあります。
装置を嫌がって続かない場合はどうすればよいですか
装着時間が足りないと効果は出にくいことが研究でも示されています。装着する時間帯を生活に組み込む工夫や、別の装置への切り替えについて、早めに医院に相談してください。
谷四と谷町四丁目は同じ場所ですか
同じです。「谷四(たによん)」は谷町四丁目の地元での略称で、「谷町4丁目」は数字表記です。どの表記で探しても、谷町四丁目駅周辺の医院が対象になります。